新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」により、様々な面で制限された生活が続いています。その中の1つである学校休校措置は、学生の学力低下を招くのではと心配されています。そういった中、家庭の中でできることはないのでしょうか。
日常の「会話」に注目
実は、日常生活における「会話」に注目することで、国語力をアップさせることができます。国語力で必要なのは「文で理解し、文で表現できるようになる」こと。そうしたことは、日常の会話の中でも実現できるのです。では、具体的にどうすればいいのでしょう?
ちょっとした会話も文章で話す
普段の会話を振り返ってください。お子さんとの会話をワンワード(一言)で行っていませんか?例えば、お子さんが食事中に水を飲みたいとき、「水!」と名詞だけで要求を伝えるなんてことはないですか?そうしたちょっとしたやり取りでも、主語・述語・目的語(〜を、〜に)を意識させるようにしましょう。
「水!」
ではなく
↓
「私は水が飲みたいので入れてもらっていいですか」
また、「ムリ」「さいてー」「やばい」「びみょ~」なども、単語で会話を成立させてしまうものです。そこで「何がムリなの?」「やばいってどういう風にやばいの?」など、文で正確に表現できるように、具体的な表現がしやすくなる問いかけをしてみてください。これだけでかなり国語力は向上すると思います。
察しの悪い振りをし、自分で説明させる
お子さんが求めていることを親御さんは先回りせず、あえて分からない振りをし、お子さんが自分の考えを言葉にだして表現するように促しましょう。また、一生懸命にお子さんが説明しようとしていたことを待ちきれず、親御さんが「きっとこうだろう」と答えを準備してしまうことがありますよね。(このケースは、せっかちな親御さん、コミュニケーション能力が高い親御さんほど陥りがちです)
例えば、
子「えっとね、今日Aくんがね、授業中にね、えっとね、Aくんがね、大きな声でおしゃべりね、えっと、叱られてね…」
親「授業中、Aくんがおしゃべりしてて先生に叱られたの?」
子「うん、そう」
おしまい、といった感じです。
お子さんが話す前に、考える前に答えを言ってしまう…これこそが、お子さんの思考力やコミュニケーション力を奪っていくのです。せっかく文章を頑張って構成しようとしていたお子さんは「お母さん(お父さん)が言ってくれるから、考えなくてもいいや」となってしまいます。お子さんの話は必ず最後まで聞き、分かりにくければ「それってどういうこと?」と聞き返し、自分で説明させましょう。
マジックワード「なぜ?」を取り入れる
「なぜ?」は、論理力を高める言葉であり、理由や背景を考えさせるときに使います。人は「なぜ?」と聞かれて初めて脳が動くそうです。「なぜこの答えを選んだの?」「なぜそう考えたの?」といったように、「なぜ?」という言葉は、問題解決には欠かせないマジックワードなのです。この言葉を日常生活の会話でどんどん取り入れていきましょう。そうすることで、国語の読解問題や記述問題がすらすらと解けるようになる論理、「因果関係」の力を養うことができます。その意味おいては、幼少期のお子さんが発する「なぜ?」には面倒がらずに向き合いたいものです。「なぜ?」が出てきたときこそ、論理的思考を養うチャンスなのです。どんなに馬鹿げたことでも頭ごなしに否定するのではなく、「どうしてだろうね」「どうしてだと思う?」と、いったん一緒に考えてあげることが大切です。
ここで1つ気をつけておきたいのは、お子さんを追い込むための「なぜ?」ではないということです。「なぜ、こんなことしたの!」「なんで言われたとおりにできないの!」の「なぜ?」は怒っているときの枕詞に過ぎないからです。
ここまで読まれて、なかなか根気のいることだなとお思いになったかもしれませんが、ちょっとだけ我慢して、お子さんの言葉を引き出しましょう。言葉にするために、お子さんは考えます。考えることによって国語の成績がよくなるのはもちろん、自ら気づき、行動が変わったりもします。また、親子のコミュニケーションを増やすことにもつながります。家族間でゲーム性をもたせ、ワンワードで会話をしたら指摘しあうのもいいでしょう。成績以上のものが生まれること間違いなしです。ぜひお試しください。